一体何週遅れなんでしょ(汗)
今回は長らく後回しにしていたBABYMETALの2ndアルバム「Metal Resistance」をレビューします。
※初回限定版のDVD、One限定版バージョンの楽曲については割愛します。

1.Road of Resistance
もはや説明不要のBABYMETALの超重要アンセム。ライブでは〆に持ってくるケースが多いので、冒頭に持ってくるとは意表を突かれましたね。しかし、よくよく考えてみると、この曲の構成はアルバムのオープニングにピッタリ。メタルエリートもこの音を聴いてメタルじぇねーとは言えないでしょう。ライブでは「ウォー!ウォー!」合唱は最高に気持ち良いです。ちなみにこの曲はDragonForceのオマージュなわけですが、この源流はIron Maidenの「Aces high」や、Judas Priestの「Electric Eye」です。荘厳なオープニングから速いノリにシフトする構成がポイント。
▼Iron Maiden / Aces high
▼Judas Priest / Electric Eye(マーティが出演していた「ヘビメタさん」のオープニング曲ですよ)
2.KARATE
メタルにおいて名曲となるのに最も重要な要件は何か。それは楽曲冒頭のギターリフ。これが如何にインパクトがあり格好良いか?これに尽きます。過去の名曲は例外無くこの要件を満たしています。KARATEもこの勝利の要件を高レベルで満たしていると言えるでしょう。先日のMステでは例によって中間を切り刻まれてしまったものの、曲がコンパクトで構成がシンプルなおかげで、そのダメージは最小限で済みました。おかげで一見さんにもBABYMETALの魅力を解り易く伝えられたのかなって思います。
3.あわだまフィーバー
ギミチョコ!を生み出した上田剛士作。音のみで評価するなら、ボーカルにエフェクト掛けすぎかなぁというのが個人的な感想。ライブの方が格好良いです。映像になると可愛らしい振り付けが入るので、ググッと評価が上がります。ライブで曲が完成する典型例ですな。間奏のMOAYUIの「アワアワアワダマポンポン」がとても可愛らしくて、妙にお気に入りです。
4.YAVA!
こちらもあわだまフィーバーと同じような感想。ブレイクダウンパートのダンスは過去最高レベルの格好良さだと思います。ていうかどの曲もこのように語れる場面があるBABYMETALって凄いわ。しかし、粒ぞろいの楽曲が沢山ある中で、このYAVA!はちょっと印象が弱く感じるかな。他所様ならエース級のシングルになりそうな曲がそんな扱いになってしまう。これまたBABYMETALの恐ろしいところですね。
5.Amore-蒼星(あおぼし)
紅月と対になる曲。すげー速い。Road of Resistanceよりも速い。ライブでのBOHちゃんのベースソロは、このスタジオ版よりも音を2つ足しているそうで、ベーシストとしてのプライドを感じました。SU-METALの声は、最初聴いた時は楽曲に対して浮いてるように感じました。ところが何度か聴くうちに気持ちよく。そして素晴らしい透明感ある歌声に、邪気を祓ってもらっているような気分になりました。アニソンにありそうな雰囲気なんだけどなんか違うのは、SU-METALの年齢から来るものと、持って生まれた人間性が作用しているからではないかと思います。
6.META!メタ太郎
次世代メタラーを育てる曲ですね。バイキングメタルと水戸黄門という、東洋と西洋の時代劇を合体させてBABYMETAL流に構築した、まさに和洋折衷超実験作と言えます。ある意味プログレ。こんな実験をできるのはBABYMETALだけの特権でしょうw。NHKのみんなの歌とかに馴染みそうですな。
7.シンコペーション
タイトルがシンコペーションだらけだからシンコペーション。ストレートやなぁ。LUNA SEAを彷彿させるビジュアル系。これを聴いて改めて気づいたんですが、オイラビジュアル系の音自体は好きみたいです。所謂ビジュアル系の何が嫌いかと言えば、ボーカルのナルシスト全開&しゃくり上げ&やりすぎなビブラート!この歌い方が最高に気持ち悪いのです。全然格好良くないから!とツッコミたい。あとついでに言えば、国産メタルの熱唱系ボーカルもかなり微妙。一歩間違えると演歌になっちゃうんだな(最たる例が演歌ロックの世良正則だと思う)。この手のファンの方ごめんなさいね。けどお世辞は言えないんだわ。ところがSU-METALのボーカルになると、突然格好良くなっちゃう(不思議だ)。MOA-YUIの合いの手もイイ感じで素敵。BABYMETALはまた新たな発見をしたなと思います。
7.From Dusk Till Dawn(US/EU版)
US/EU版ではシンコペーションの代わりに収録される曲です。こういうタイプの曲は門外漢ゆえに詳しいことは述べられないので、印象で書きます。トランス系って言えばいいんですかね?初めて聴いた時はあまりの異物感になんじゃこりゃ?と思った。でも2、3度聴きなおしてみると、なんかすんげー格好良い!そしてSU-METALの歌に新たな一面が加わったという感じ。滅多に聴けないファルセットを使っているのもポイントですね。F1グランプリのエンディングテーマにしたらバッチリハマるでしょう!
8.GJ
BLACK BABYMETALによる「おねだり大作戦」の続編。歌詞も成長した分だけちょっとだけ大人な内容。うまいなぁw。んでウネるようなギターリフが滅茶苦茶格好良い。解ってるなぁwと膝を叩いちゃいますね。
9.Sis.Anger
MORBID ANGEL、Emperor、Behemothらも顔負けの超絶ブルータルなブラストビート。で、その上にMOA-YUIのめんこい声が乗るという狂った世界。ざっけんじゃねーぞ!オイ!オラ!が頭の中でリフレインしちゃいます。凄い破壊力があるので、最近は目覚まし用に設定してますわ。
▼参考1:Morbid Angel / Suffocation
▼参考2:Emperor / Curse You All Men !
▼参考3:ベビーメタラーの一部ではお馴染みのBehemothさん / Demigod
10.No Rain No Rainbow
SU-METALによるX-JAPANの「ENDLESS RAIN」のオマージュ。武道館の頃より成長しこれを歌うに相応しいSU-METALになったかなと思う。スタジオ版で聴けたこと、それ自体は嬉しかったです。だけどこのアルバムに入れるべき曲だったかというと、未だに微妙、というのが偽ざる気持ちです。「ENDLESS RAIN」もそうだけど、THE・J-POPなんですよね。色々なメタルを取り込むのが今作のテーマだけど、これを入れるのはやっぱり違うと思う。海外版に入っている「From Dusk Till Dawn」を入れて、こちらはThe-One限定版のボーナストラックでも良かったんじゃないかなぁ。
あるいは、もう少しアレンジがモダンだったら印象が違ったのかもしれません。もしもピアノとストリングスが生楽器だったら、全く違った評価をしていたと思います。恐らく激賞する筈。UFOの名曲「Try Me」、「Love to Love」とオーバーラップして感涙するに違いありません。
▼UFO / Try Me
▼UFO / Love to Love
▼UFO「Lights Out / 新たなる殺意」。HM/HR史に残る超名盤!オススメです!
11.Tales of The Destinies
ドリームシアターばりの超難曲。作者のたっぷん氏のドリームシアター愛を感じずにはいられません。ていうか楽器もメッチャ上手いですよね。彼のツイートによれば何度(数万回)も録音ボタンを押したそうですから、KOBAMETALの鬼畜っぷりも凄いんだろうなと想像。だけどその苦労の結晶は素晴らしい楽曲になりました。ウチの嫁さんもハマりまくっていますね。TheOneとの組曲になっていて本当に格好良い。
12.The One
Tales of The Destiniesと一緒に聴くべき曲。そして巨大会場のワンマンライブでトリを飾るための曲でもありますね。小神様のために書かれたようなテーマとなるギターリフが秀逸。難癖をつけるとすれば、超絶展開をTalesに任せたのだろうけど、プログレをテーマにするならもっと起伏をつけた方がいいかな。曲単体で聴いた場合の完成度は、Talesの方が上と思う。
全体を通して
アルバムを俯瞰すると、ヘヴィなメタルサウンドでありながら、トータル的には清涼感とかプラスの空気感をまとっているように感じます。こういう感覚は、既存のメタルでは感じた事がありません。少し大人になったSU-METALの歌声もポイントになっているのかな。意図的かどうかは判らないけれども、自然にまとめ上げたことが、実は凄いことなように思います。もしかすると、この「プラスの清涼感・空気感」がBABYMETALの根底に流れる「色」に昇華していくかもしれませんね。大事に育ててほしいと思います。
それと、アルバムのトータル収録タイムが54分と1時間以内にまとめたことも良かったですね。CDの限界まで詰め込むタイプのアルバムがありますが、ぶっちゃけああいうのは飽きる。人間が集中して何かに取り組めるのは精々1時間程度と云われていますから、こういう点も考えて構成したのであれば、流石だなと思いますね。
辛口のコメントもちょこちょこ書いたけれども、どれも重箱の隅を突く些細なレベルの話で、アルバムそのものの完成度は極めて高い。これはトータルプロデュースする人のビジョンが明確で軸がしっかりしているからこそ成し得た結果です。KOBAMETAL氏の手腕は賞賛されてしかるべきでしょう。そして氏のビジョンを正確に、いや期待以上のクオリティで応えるSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETAL、作詞・作曲家の皆さん、セッションミュージシャン、サウンドエンジニアさん、裏から支える人達もまた本当に素晴らしい。いくら拍手を贈っても贈り足りないほどです。
希に見る傑作でした!!
SEEEEEE YOUUUUUUU !!!!!!!!


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