ステージは前段にドラム3人、後段ロバート・フリップら5人の超変則的アンサンブル構成。今やっているウチのバンドもかなり変則的な楽器構成なので、とても共感できた。
彼らの音楽・演奏に対する真摯な姿勢は尊敬を通り過ぎて、畏敬するレベルであった。前段3人がドラムというだけでも大変なのに、8人の演者が変拍子アリまくり難解構成の曲を一糸乱れず超タイトに完璧に演奏するのだ。
しかもイヤモニはしてるが、明らかにクリックを聴きながらの演奏ではない。互いの演奏に耳を傾けつつ拍感を合わせ完璧にアンサンブルするのである。
演者の表情はまさに一心不乱。派手なステージパフォーマンスやMCなど一切無い。派手に光る照明も飾りも何も無い。あるのは究極の音楽をオーディエンスに届ける演奏に没頭している姿のみである。その潔いステージから底知れぬ気迫と神々しさを感じた。これは本当に凄い事だと思う。
演奏クオリティはスタジオ盤の遥か上を行っている。凄腕ミュージシャンを揃えるBABYMETALのライブクオリティもそのように喩えられるが、ステージ演出やフロントパフォーマーのダンスに助けられている面が大きい。またキーボードのメロディやコーラスは被せである。しかしKing Crimsonは凝った演出無し&
BABYMETALでは被せの部分も含めて全て生演奏だ!
その究極の演奏クオリティを達成するためにメンバーの皆が一人二役をこなす。ボーカル兼ギター、ドラム兼キーボード、フルート兼サックス3種...音楽的素養が半端ない。派手なパフォーマンスや速いパッセージは神バンドに分があるが、それ以外の技術は遠く及ばないと思った。
これがKing Crimson結成50年で至った境地。曲が終わるに度に出てくる言葉は「すげぇ...」こればかりだった。
楽器演奏やってて多少なりとも技術向上を目指す人なら誰もがそう思うだろう。それくらい凄まじい演奏。完膚無きまでに叩きのめされた気分になった。一緒に観た嫁は「クラシック界の人達はおおよそクラシックこそが至高と思っているけど、King Crimsonはそれを超えている」と絶賛した。
「人間って凄いなぁ」と素直に思った。努力を積み重ねるとあの境地に至る事を知って本当に良かった。
前置きというか感想が長くなったが、重要な事なのでガッツリ書いた。
スタジオ盤を超えるライブを披露するBABYMETALの弱点のおおよその部分が上に書いてきた事だ。
まずフロントの女子2名。若さだけで何とかなる期間は短い、という事を肝に銘じてほしい。自分たちがどれほど恵まれた音楽的環境にいるかも自覚してほしい。本格的に世界を席巻する日本人アーティストなど滅多にいないのだから。まぁ自覚してると思うが、そうじゃないなら本格的なバカだ。
その自覚があるのなら、音楽で生きて行く覚悟を持って音楽的なスキルをアップに勤しんでほしい。作詞作曲の勉強をしよう。下手でもいい。やらないよりやる方がずっと大事。単なるアイドル(成れの果てはひな壇芸人が関の山)より100億倍カッコイイから。周囲には優秀なミュージシャンが沢山いるだろうから、色々教えてもらおう。
MOAMETALはスクリームだけじゃダメだ。歌のセンスはあるのだからハモりを歌えるようになろう。キャンディーズにできてMOAMETALに出来ぬ事など無い。ギターをやっていたので、そこを伸ばすのも大いに結構だ。
女子2人の音楽的な成長は必ずやBABYMETAL が繰り出す音楽の深みに良い影響を与える。だからマネージメント陣はBABYMETALと女子2人の将来を真剣に考え、薄っぺらな存在に留めるのではなく、音楽の勉強を全力でサポートするべきだ。そして彼女らの音楽的な意見を取り入れ、当事者意識を高めてほしい。
くれぐれもディズニーのキャラクターよろしく歌って踊らせるだけで、賞味期限が切れたら用無しにするような真似だけは絶対にしないように。とにかく末永く芸能活動を続けられるように、中身の伴ったスーパーレディに育ててほしい。それが幼少から育ててきた芸能界での親としての責任・務めだ。
神バンドについては、ステージで彼女らとの音楽的な絡みをもっと持たせるべきだ。また以前のようにもう少し神バンドをフィーチャーしてほしい。神バンドのソロが無くなるとホントつまらなくなる。2018年に発表された楽曲のつまらなさの大きな原因もそこ。メタルのステージで凄腕ミュージシャンを単なるバックバンド扱いにするのは不自然だし、それこそ無駄遣。凄い演奏を魅せつけるのがメタルミュージックの真骨頂の一つでもあるのだから、そこを捨ててどうする?とツッコミたくなる。
海外のフェス映像を見れば、完全に一体化したものと見做してるじゃないか。なのに公式映像では神バンドのシーンを意図的に削る。その意図が何なのか、ほとんど全ての「音楽的にBABYMETALを好きになった」ファンにとっては意味不明であるし、ずっ〜と改善を望み続けている部分だ。
オイラ的には演奏家の存在を、ただ軽んじているようにも思えてしまう。これまで何度も主張しているが、彼らの演奏のお陰で世界に出れたという事に対して、もう少し敬意を払っていただきたい。
あんまりこういう事は書きたくないが、あくまでも女の子が主で神バンドはオマケみたいな扱いをしてきたツケとして、昨年あのような試練を与えられたのではないか?と少し本気で思っている。
事務所の都合やらビジネス的な都合やら株主様への配慮も結構だが、物事の道理を大切にしないといつか更なるしっぺ返しを食らうと予言しておく。現に昨年、ライブチケット販売に関わる酷い対応(北米ツアーでチケットを売り捌いてからYUIMETALの不出演をアミューズ本体ではなく5Bから発表させた事など)で、ファンの不信感が一気に増幅した。大箱のチケットの売行きもちょっと怪しかったし、新曲動画のビュー数も伸びもイマイチなのは、不信感の表れだと思う。
そう、自分らがやった事は必ず自分らにはね返ってくるんですよ。それが物事の道理というか法則です。
一度初心に立ち戻って、これまでやって来た事、特にここ1年の事を謙虚に総括・反省していただきたい。そうすれば、お客様は金をむしり取るための信者ではなく、自分らを応援してくれるファンである事を改めて認識し直せるのではないでしょうか?
King Crimsonをご覧なさい。聞けばあれだけの知名度があっても、ツアーの利益はあまり出ないのだという。それでも最高の演奏を披露するために世界中を周っている。マネージメント陣にはその誠実さを見習ってほしい。
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